運転免許証を更新しました。改元後ということで、免許の表示は「2024年(令和06年)まで有効」と記載されており、生まれは昭和、免許取得は平成、発行が令和と三つの時代に跨る免許証です。
そんな中、世間では悲惨な交通事故が相次ぎ、事故ごとに異なる報道のしかたに否定的な議論が多くなされ、私も免許更新時に視聴義務のある安全運転の手引きDVDを見ながら色々なことを考えていました。
視聴が終わると新しい免許を手渡されるのですが、私の横にはいま免許を返納したという老人が。曰く、池袋の事故を知って怖くなって返納したとのこと。身分証明書用に渡される免許証風のカードを手に、婦警さんに「これでもう、俺は一生運転できないのか?」「車は息子に譲った」「今日はタクシーで警察署から帰る」「これでもう、二度とハンドルを握れないのか?」「本当にもうダメなのか?」とやけに食い下がっていました。
婦警さんも慣れたもので、「長い間の運転、本当にお疲れ様でした」「これからは息子さんに甘えたり、タクシーに乗る生活を楽しんでくださいね」「心配事が一つなくなるというのは、心が穏やかになりますよ」と老人を慰めます。
自主返納というのは、プロレスでいうところの「ギブアップ」ですので、老人の寂寥感は気持ちも分かります。ですが、ドライバーの老いが原因で罪のない命が奪われるというのもやり切れません。返納したほうがメリットがある、という制度改革が急務ではないかと思った警察署での出来事でした。(木村)